支援活動
Activity

入所時面接|intake interview

 風の家の利用者の多くは、刑務所や少年院、その他の矯正施設を出て、あるいはそのような犯歴はなくとも仕事を失い、居場所を失い、いずれにしても生活の場がない状態で当施設の宿所を利用することから関わりが始まります。心理支援として、この宿所入所時に、本人が抱える問題やトラブル、そこに至った経緯、その他の情報を聞き取る手続きを経ることで、心理学的な観点から今後の支援の見通しをつけようとしています。入所時面接はそうした目的のために行われています。
 犯罪や貧困に限らず、人が問題を抱えるには一般によくあるパターン(例えば悪いことをする仲間がいるとか、職を失いアパートを出されて生活に困るとか)とともに、その状態に入っていく個別の事情があります。例えば悪い仲間はその人にとって必要な何を提供してくれているのか、仕事や住居を失うときにきっかけとなる出来事を避けられなかったのはどういった事情なのか、といったことです。そこにはその人特有の考え方や感情の動きがあって、それは特に注意して分かろうとしなければ見えてはきません。またこれは、ある日突然に出てくるものではなく、子どもの頃から繰り返されていたその人独自のパターンに裏打ちされたものであって、その意味で、個別の事情には歴史があります。
 そうした「これまで」の理解が、「これから」の手立てに活かされると私たちは考えています。
 入所時面接で得られた情報にもとづいた、その人が問題を抱えるパターンは、その場で本人にも伝えられます。それとともに、その後の施設やさらにその後の社会生活の中で、どういった時に問題が起きやすくなるのか、問題が起きそうなときのサインは何か、逆にどういった時には困難を乗り越えることができるか、という見立てとして支援計画に織り込まれていきます。

心理状態の調査|questionnaire

 入所時面接と並行して、現在の心理状態を捉えるためのアンケート調査を実施しています。使用している尺度は、精神健康全般に関するもの、自尊感情に関するもの、対人関係で葛藤が生じた時にそれをどのように解決するかという方略に関するもの、そして犯罪に陥りやすい思考に関するものの4つです。入所時面接が主にこれまでの問題や生育歴という心の外側の情報を中心としていたのに対して、心理状態の調査では心の内側の情報を中心として本人の問題のパターンを理解しようとしています。使われている尺度は以下の通りです。

精神健康 矯正施設から社会に出る時、うまくいかないことやつまづきがあった時など、人は生活上の大小の出来事に心身のバランスを崩します。そうした状態の変化を捉えたり、個別のケアが必要な人がいないかを確認する尺度です。
自尊感情 犯罪や貧困からの立ち直りを考える時に、本人が適度に自分に自信を持ち、価値があると感じていることは意味があります。この自尊感情が低すぎたり高すぎる時には、その要因に働き掛けることが必要だと考えられています。
対人葛藤方略 多くの再犯者が対人関係でのつまづきをそのきっかけに挙げています。対人関係に問題が生じた時にどのような解決の仕方をとりやすいか、そのパターンを理解しておくことは、そこから再犯につながる流れを止めるために必要です。
犯罪思考 犯罪を行うことを許容する態度があるかどうかは、犯罪をするかどうかに直接に関わります。自分で自分の状態に気付けるように、また私たちが支援に活かせるように、確認のためにこの尺度を入れています。
 結果については、希望があれば個別のシートとして利用者に返却し、自己管理や立ち直りのための目標設定などに使ってもらっています。

カウンセリング|counselling

 利用者が必要としている支援は、大部分が当面の宿泊場所があること、そのうえで仕事を探し、やがて家を見つけて地域での生活を始めること、それにあたっての諸々の手続きやこれまでの精算といったことの同行、手伝いなどです。保護観察や試験観察などがついている場合には、保護監察官との仲立ちも重要な支援になります。そのため心理的な支援は、上で述べたように問題を抱えるパターンの理解としてこれらの司法的、福祉的活動の中に織り込まれ、職員はこれらの活動の中で本人が同じパターンに陥らないように働き掛けていくことになります。
 しかし、中には、自分のことをもっと考えたいとか、誰かに話を聞いて欲しいとか、あるいはより積極的に自分を変えていきたいという思いを抱えている利用者がいます。こうした人への心の作業としてカウンセリングが行われます。あるいはまた、精神的な疾患やその他の障害を有しているために、特別な配慮が必要な利用者もいます。こうした人にはその特性にそって話を聞き、また話し合いを行なうことが必要です。こうした作業もここではカウンセリングと呼んでいます。カウンセリングとよく似た言葉に心理療法やガイダンスというものがありますが、ここでは心理的な特性に焦点を当てて行なう話し合いを、広くカウンセリングと呼んでいます。
 もっとも積極的なカウンセリングにおいては、その人特有の思考や感情の動きを、その歴史とともに浮かび上がらせ、これに本人とカウンセラーとが取り組むことでその人が変わっていくことを目指します。よりマイルドなカウンセリングにおいては、本人が持つ特性の変化までは目指さず、その特性をよく理解し、それに合わせてより良く生きることの出来る方法を探すことを目指します。もっとも軽いカウンセリングでは、自分の特性を理解することよりも、その特性に沿ってカウンセラーが話を聞くことで、生活の中で起きている状況の整理を行ないます。
 カウンセリングは宿所施設の利用者だけではなく、地域の中で生活を始めた人にも、あるいは初めから地域の中にいて相談を目的に訪れた人に対しても提供されています。カウンセリングを行なえる臨床心理士は必ずしも毎日いるわけではありませんので、利用の際には必ず事前にお問い合わせ下さい(リンク)。
 カウンセリング用のリーフレットの配布も始めました。関係機関に置かせていただいていますが、こちらからもご覧いただけます。

その他|other

 当研究所では、利用者への間接的、直接的な心理支援の他に、以下のような活動を通じて、犯罪や非行の問題を抱えた人、貧困の問題を抱えた人、およびそうした人々を支援する人への支援、貢献、啓蒙を行なっています。
スーパービジョン・コンサルテーション
講演・研修